離婚や死別によってひとり親へなったとき、一番の心配はやはりお金ですよね。
ひとり親へなったとき受け取れる母子手当(児童扶養手当)には、所得制限があります。
せっかく一生懸命働いたのに、母子手当が減って収入を減らすことになっては嫌だわ
母子手当を賢く受け取る合法的裏ワザは「小規模企業共済等掛金控除」です。
さらに、母子手当の全部支給や一部支給されるボーダーラインもご紹介します。
母子手当の所得制限には養育費も含まれています。
養育費を申請しなければ母子手当がたくさんもらえるかしら
養育費の申請せずに母子手当を受け取ることは合法的裏ワザではなく、不正受給となり、厳しい罰則があります。
不正受給ではなく、控除を使って所得を減らし、収入によっては母子手当が多く受け取れる合法的裏ワザをご紹介します。
母子手当の裏ワザは小規模企業共済等掛金控除!
母子手当を賢く受け取る裏ワザは「小規模企業共済等掛金控除」です。
「小規模企業共済等掛金控除」で、所得を減らし、収入によっては母子手当が多く受け取れます。
「小規模企業共済等掛金控除」には3種類あります。
- 小規模企業共済制度
- 確定拠出年金制度
- 心身障害者扶養共済制度
難しい言葉ばかりですね。ここでは、1つずつ解説します。※以下は、2023年3月現在の情報です。
小規模企業共済制度
「小規模企業共済制度」とは、フリーランスや小規模企業役員が加入する退職金のようなものです。
ここでいう小規模企業とは常時使用する従業員数が20人以下の個人事業主または会社などです。
掛金月額は、1,000円から7万円まで、500円単位で設定することができます。
支払った掛金の全額が所得控除対象です。最大で月額7万円掛金を支払った場合、年間84万円の所得控除が受けられます。
さらに、向こう1年以内の前払い掛金も控除対象となりますので、最高で168万円所得控除を受けることができます。
フリーランスや小規模企業役員で、所得が多すぎて母子手当を受け取れないときにはぜひ活用していただきたい裏ワザです。
しかし、20年以内に解約した場合、元本割れしてしまい、損してしまうので注意しましょう。
確定拠出年金制度
「確定拠出年金制度」はiDeCo(イデコ)の愛称がついています。
公的年金以外で、個人が掛金を自分にて決めて運用する「私的年金制度」です。
「確定拠出年金制度」も掛金全額を所得控除の対象とすることができます。
掛金の上限は個人によって異なりますので、確認してください。
国民年金保険の加入状況 | 具体例 | 掛金の上限 |
第1号保険者 | フリーランスなど | 月額68,000円 |
第2号保険者 | 会社員 | 月額12,000円~23,000円 |
公務員 | 月額12,000円 | |
第3号保険者 | 専業主婦など | 月額23,000円 |
年金制度になるので、60歳までは使うことができません。
また、金融商品を自分で決めて投資する形になるので、元本割れする可能性もあります。
どなたでも利用できるので、所得がオーバーしてしまって母子手当を受け取れない場合に利用していただきたい裏ワザです。
心身障害者扶養共済制度
「心身障害者扶養共済制度」は、子どもに障害がある場合、加入できます。
保護者が掛金を払うことで、保護者に万一(死亡・重度障害)のとき、子どもは生涯共済金2万円受け取れます。
「心身障害者扶養共済制度」も掛金全額を所得控除の対象とすることができます。
掛金は保護者の加入時年齢によって異なります。
お子さんに障害があるあなたへ、安心の制度ですね。
所得が制限越えしてしまって、母子手当を受け取れないときにも使える裏ワザです。
母子手当の裏ワザを活用するためにボーダーライン確認
ここまで、母子手当が受け取れる所得制限越えしてしまったとき使える「小規模企業共済等掛金控除」を使った裏ワザについてご説明しました。
そもそも、母子手当(児童扶養手当)の金額はいくらでしょうか。
東京都保健福祉局のオフィシャルページではこのように記載されていました。
子どもの数 | 全部支給額 | 一部支給額 |
1人目 | 月額43,070円 | 月額43,060円~10,160円 |
2人目 | 月額10,170円 | 月額10,160円~5,090円 |
3人目 | 月額6,100円 | 月額6,090円~3,050円 |
母子手当(児童扶養手当)額は、物価の変動などに応じて毎年額が改定されます(物価スライド制)。
母子手当がもらえなくなるボーダーラインは以下のようになっています。
扶養人数 | 全部支給 | 一部支給 |
0人 | 49万円 | 192万円 |
1人 | 87万円 | 230万円 |
2人 | 125万円 | 268万円 |
3人 | 163万円 | 306万円 |
4人以降は1人増えるごとに38万円が加算されます。
【児童扶養手当で審査する所得=所得(収入-必要経費)+養育費の8割-8万円(一律控除)-諸控除】
母子手当がもらえなくなるボーダーラインは上記表のとおりです。
もし、母子手当がもらえなくなるボーダーライン越えしてしまっていた場合、前の章にて紹介した裏ワザで控除額を増やしてください。
裏ワザ駆使しても、所得が多すぎて母子手当をもらえなかったり、減ったりする場合はあるかと思います。
しかし、控除額を増やすことで所得税や住民税が減ることもあるので、ぜひ活用してみてください。
ボーダーライン以上になり、母子手当減額もしくはもらえなくなった場合でも、私は仕事をセーブしない方がよいと考えています。
なぜなら、今仕事をセーブしてしまうと、生涯年収が減少し、自分の老後資金も減らしてしまうことになるからです。
老後資金が足りなくて、子どもに迷惑をかけては元も子もないですよね。
母子手当の裏ワザでない養育費隠しには罰則あり
ここまで、母子手当を賢く受け取るための合法的な裏ワザ紹介してきましたが、ネットには違法な裏ワザも紹介されています。
養育費は申請しなきゃバレないから隠した方がいい
このような口コミがありましたけれども、自治体によっては預金通帳を確認することもあるので、隠せません。
もし、養育費隠しして母子手当の不正受給していた場合、罰則を受けることになります。
すでに支給されている母子手当の返還義務が生ずるとともに、「3年以下の懲役」または「30万円以下の罰金」へ処せられることもあります。
根拠法令:児童扶養手当法第23条(不正利得の徴収)
偽りその他不正の手段により手当の支給を受けた者があるときは、都道府県知事等は、国税徴収の例により、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
根拠法令:児童扶養手当法第35条(罰則)
偽りその他不正の手段により手当を受けた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治40年法律第45号)に正条があるときは、刑法による。
引用 江戸川区ホームページ
養育費を隠して母子手当の不正受給すると罰則があります。必ず申告してください。
養育費を隠蔽する違法な裏ワザの口コミに惑わされず、合法的な裏ワザ活用しましょう。
母子手当の裏ワザと言われる世帯分離でも打ち切られる
ひとり親になり、実家に帰るという方も多いと思います。
ここで気を付けていただきたいポイントは、同居家族の収入によって母子手当が打ち切られることもあるということです。
世帯分離すれば母子手当もらえるよ
世帯分離を裏ワザとして紹介している口コミもありましたけれども、世帯分離しても同居家族の収入が多い場合には母子手当を打ち切られてしまいます。
ここで、母子手当(児童扶養手当)の支給対象を確認しましょう。
・父母が婚姻を解消(事実婚の解消含む)した後、父又は母と生計を同じくしていない児童
・父又は母が死亡した児童
・父又は母が政令で定める障害の状態にある児童※
※父障害の場合、受給資格者は母又は養育者、母障害の場合、受給資格者は父又は養育者・父又は母の生死が不明である児童
・父又は母が母又は父の申し立てにより保護命令を受けた児童
・父又は母から引き続き1年以上遺棄されている児童
・父又は母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・父母が不明な場合(棄児等)
引用 東京都福祉保健局
また、支給制限もありますので、確認してください。
・児童又は請求者が日本国内に住所を有しないとき
・児童が児童福祉施設等に入所している、里親に委託されているとき
・児童が父及び母と生計を同じくしているとき(父又は母が障害による受給を除く)
・児童が父又は母の配偶者(事実上の配偶者を含む。)に養育されているときなお、児童扶養手当法が改正され、平成26年12月1日から、公的年金等の給付額が児童扶養手当額より低い場合は、その差額分の児童扶養手当を受給できるようになりました。
引用 東京都福祉保健局
ここで重要なのが、所得制限に関する記述です。
東京都保健福祉局のオフィシャルページには、請求者と生計を同じくする扶養義務者の所得が限度額以上のとき、手当の全部または一部が支給停止になるという記述がありました。
請求者と生計を同じくする扶養義務者つまり同居家族の前年所得が所得制限にかかわります。
同居家族が定年退職して、退職金を受け取ったことで母子手当(児童扶養手当)の打ち切りになったという口コミもありました。
また、実家の親以外でも、事実上の配偶者とみなされてしまう異性と同居していた場合に、母子手当が打ち切られることもあるようです。
裏ワザとして世帯分離が推奨されていましたけれども、同居の場合には世帯分離していても母子手当の打ち切り対象です。
裏ワザとして紹介されているものの中には、違法なものやデマも混ざっているので気を付けてください。
ひとり親になった時に頼りたい実家ですけれども、母子手当が打ち切りになる場合もあるので、慎重に検討しましょう。
まとめ
- 母子手当を賢く受け取る合法的裏ワザは「小規模企業共済等掛金控除」
- 「小規模企業共済等掛金控除」には、「小規模企業共済制度」「確定拠出年金制度」「心身障害者扶養共済制度」がある
- 「小規模企業共済制度」はフリーランスや小規模企業役員が使える
- 「確定拠出年金制度」は誰でも使える
- 「心身障害者扶養共済制度」は子どもに障害がある場合使える
- 養育費隠しして母子手当の不正受給していた場合、罰則を受けることになる
- 世帯分離しても同居家族の収入によって母子手当が打ち切りになる
ひとり親になったとき、母子手当(児童扶養手当)を受け取れると安心ですよね。
所得制限に引っかかって減額やもらえなくなった場合、合法的裏ワザである「小規模企業共済等掛金控除」を使うことで母子手当の支給額が増える可能性もあります。
特に「確定拠出年金制度」(イデコ)は誰でも入れて節税にもつながるのでおススメです。
合法的な裏ワザで、親子の未来を守りましょう。
※ここで紹介した母子手当に関する支給金額や裏ワザなどの情報は2021年8月現在のものです。
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